目次
前提
主体の察知とは、存在しない場所・物に、人間のような意図・目的を持った「主体(エージェント)」を過剰に感じ取ってしまう認知バイアスのこと
別名:Agent Detection、エージェントディテクション
広義:認知バイアス
対比:
主体の察知は、人間が進化の過程で獲得した、生存のための防衛本能が原因であるとされている
人間は、周囲の環境を認識する際「これはただの自然現象か?」それとも「これは誰か(捕食者など)の意図的な行動か?」を瞬時に判断する必要があった
例えば、草むらがガサガサと音を立てた時
1.「ただの風の音だ」と判断して無視する
2.「何かが潜んでいるかもしれない」と判断して警戒する
この2つのうち、生き残る可能性が高いのは後者
たとえそれがただの風の音であったとしても、警戒して動くことで捕食者から身を守れる可能性が高まる
一方、前者で捕食者が潜んでいた場合、命を落とすリスクがある
このように、生存のためには「過剰に警戒する」ほうが有利だったため、人間は「存在しない主体」を察知するように進化した
これが現在社会でも、無意識のうちに働く「主体の察知」という認知バイアス
例:超自然的な存在を信じる(不可解な現象を「神の仕業だ」「何かの呪いだ」と解釈する)
例:物音・気配に過剰に反応する(夜中に家出「ドスン」という音が聞こえた時、実際はただの家鳴り・物が落ちた音であるにもかかわらず「誰か侵入者がいるのでは?」と考える)
例:機械・自然現象に人格を見出す(パソコンがフリーズした時に「またこのパソコンはいうことを聞かない」「私に意地悪をしている」と感じる)
取り組み方
プライベート(内発)
主体の察知を対策するには、自身の感情・行動を分離する(感情をそのまま行動に移すのではなく、一度立ち止まって、感情・行動を切り離す)
主体の察知の原因は、「超自然的信念(曖昧な状況で主体の察知の存在を推測することで、神・霊的存在への信仰が強化される場合がある)」
主体の察知を対策するには、意図的に「意図を持った存在がいない可能性」を考える
主体の察知の原因は、「認知の効率性(機械的な原因を推測するよりも、主体の存在を仮定するほうが認知的負担が少ないため、主体の察知が優先されることがある)」
主体の察知の原因は、「擬人化(人間は曖昧な対象を人間の形・意図を持つものとして解釈する傾向がある)」
