目次
前提
情操とは、本能的な欲求・一時的な感情(情動)とは異なり、知性・意志の働きと結びついて生じる、安定的で高次な感情のこと
情操は、真・善・美・聖といった文化的・社会的な価値観に基づき、特定の対象に対して持続的に抱く精神的な態度を指し、後天的な経験・教育によって育まれる「豊かな心」や「人間らしい深みのある感性」の中核を成す概念である
情操は、日常会話で単独で使われることは少なく、「情操教育」という熟語として使われるっことが圧倒的に多い
情操は、より噛み砕いた「感性」「心」「精神性」といった言葉で表現されることが一般的
別名：Sentiment、センチメント、高次感情
類似：感性、情趣、心持ち
対比：情動、衝動、本能
感情(主観的な心の動き)
┣▶ 情操(価値に基づく安定的で高次な感情)
┃ ┣▶ 知的情操(真理：知りたい、心理を愛する気持ち)
┃ │ ┗▶ 好奇心、探究心、懐疑心
┃ ┃
┃ ┣▶ 倫理的・道徳的情操(善：正しさを愛し悪を憎む気持ち)
┃ │ ┗▶ 正義感、責任感、義務感、信頼、愛国心
┃ ┃
┃ ┣▶ 美的情操(美：美しさを愛でる気持ち)
┃ │ ┗▶ 感動、審美眼、優雅さへの憧れ
┃ ┃
┃ ┗▶ 宗教的情操(聖：尊いものを崇める気持ち)
┃ ┗▶ 畏敬の念(Awe)、感謝、慈悲
┃
┣▶ 情動(一時的で急激な感情)
┗▶ 気分(持続的で漠然とした状態)
情操の特徴は、「安定性と持続性 (一時的に燃え上がって消える情動とは異なり、性格の一部として長く定着する)」
情操の特徴は、「後天性・陶冶可能性 (生まれつき備わっているものではなく、環境や教育によって養い、高めることができる)」
情操の特徴は、「価値指向性 (単なる快・不快ではなく、『正しいか』『美しいか』といった文化的価値判断を伴う)」
情操が生じる理由は、「意味への意志(生存するだけでなく、世界を理解し、美しさや尊さを感じることで精神的な充足を得ようとする)」
情操が生じる理由は、「社会的な適応と調和(本能的な衝動を抑制し、集団のルールや倫理に従って高度な社会生活を営むため)」
情操が生じる理由は、「文化の継承(世代を超えて共有される価値観や美意識を、個人の内面に取り込むプロセスとして機能する)」
事例
例：雄大な自然の風景や優れた芸術作品に触れ、言葉にできない感動を覚える(美的情操)
例：宇宙の仕組みや歴史の謎について、もっと深く知りたいとワクワクする(知的情操)
例：ニュースで不正を知り、自分とは無関係であっても許せないという義憤を感じる(道徳的情操)
例：長年連れ添ったパートナーに対し、ドキドキ感はないが絶対的な安心と信頼を抱く(親和的情操)
表現の例
表現：情操豊かな
表現：情操教育
表現：情操を養う